『紙兎ロペ』を唯一無二の存在に押し上げているのが、徹底的に作り込まれた美術背景のギミックです。実写で撮影された東京都葛飾区周辺などの昭和レトロな下町風景を切り取り、その上に平面的ペープサート(紙人形)のキャラクターを合成する手法が採用されています。この背景の中に散りばめられた看板や電柱の張り紙の小ネタは、放送開始当初から現在に至るまで視聴者の目を奪い続けています。
例えば、街角の掲示板に貼られた「犬のフン放置禁止」の看板に妙に理屈っぽい但し書きが添えられていたり、商店街の看板に「クリーニング白光」「焼肉 ジュージュー」といった絶妙に脱力感を誘うネーミングが施されていたりと、画面の隅々にまで製作者の遊び心が詰め込まれています。一時停止しなければ読み取れないような微細なテキストが仕込まれており、SNS上では「今日の背景看板、誰が気づいた?」「背景のダジャレ看板を見つけるのが朝の日課」といった考察が日々投稿されています。
また、登場キャラクターたちの関係性も綿密に練り込まれています。高校2年生のロペは、礼儀正しく敬語で話すものの、どこか冷めた目線で先輩の言動を観察する現実主義者。対する高校3年生のアキラ先輩(本名:大島アキラ)は、リスという小柄な体躯でありながら短気で強がり、威勢のいい下町気質を見せます。しかし、自宅では強烈な威圧感を放つ「アキラの姉」に全く頭が上がらず、同級生である羊の牧野やカラスの林、フラミンゴの畑中といった個性的な脇役たちに振り回されるなど、キャラクターの「弱さ」や「人間臭さ」が愛される要因となっています。