かつて池袋東口のサンシャイン通り至近、大和ビル地下1階に鎮座していた「古城の国のアリス」。2026年現在の営業状況を現地および商業登記・テナント情報から確認したところ、同店舗は完全に閉鎖されており、再開の予定はありません。グルメ予約サイトの掲載も「掲載保留」から「閉店」へと正式に切り替わっています。
長年ファンに愛され、週末には予約なしでは入れないほどの盛況を誇っていた店舗が、なぜ幕を下ろすことになったのか。運営母体であるダイヤモンドダイニング(現・株式会社DDグループ)の公式IR資料や当時の業界動向を精査すると、そこには外食産業を根底から揺るがした構造的要因が浮かび上がります。
決定打となったのは、2020年8月に行われた閉業判断です。当時、感染症拡大に伴う緊急事態宣言の発令や飲食店の営業時間短縮要請が相次ぎ、外食市場全体が未曾有の打撃を受けました。同社の開示資料によると、2020年春から夏にかけての売上高は前年同期比で70〜80%以上落ち込む月が続出。固定費負担を軽減するため、全社的な不採算店舗の選別と不退転のコスト削減が急務となっていました。
特に「古城の国のアリス 池袋」のようなコンセプトレストランは、客席の回転率で稼ぐ日常食の業態とは異なり、空間演出や接客パフォーマンス、仕掛けにかかる維持管理コストが極めて高いビジネスモデルです。密を避ける行動様式が定着したことで、最大の強みであった「大人数での女子会」「記念日のパーティー利用」が一気に蒸発しました。企業存続をかけたポートフォリオ再構築の過程で、賃貸借契約の更新時期も重なり、苦渋の撤退決断が下されたというのが実態です。