日本人の横顔における最大の悩みとして挙げられるのが、口元がもっこりと前に突き出るいわゆる「口ゴボ」です。日本矯正歯科学会の専門医らによると、口ゴボは大きく「歯槽性(歯の傾斜)」と「骨格性(上下顎骨の突出)」の2つのタイプに分類されます。
歯槽性の口ゴボに対しては、歯列矯正による横顔の変化が劇的な改善をもたらします。小臼歯を抜歯して確保したスペースを利用し、前方に出ていた前歯を後方に数ミリ移動させることで、引っ張られていた上唇と下唇が自然に引き締まり、Eラインが綺麗に出現します。
一方で、臨床現場からは慎重な声も上がっています。都内の審美歯科医院で矯正治療を受けた30代女性は、取材に対し次のように語りました。
「出っ歯感を消したい一心で強い後方牽引を希望しましたが、口元が下がりすぎたことでほうれい線が深くなり、実年齢より老けた印象になってしまいました。主治医とミリ単位で唇の厚みや顎の角度をシミュレーションすることの重要性を痛感しました」
骨格そのものが前方に位置している場合は、単なる歯列矯正だけでは限界があり、顎骨を切除する外科的矯正(上下顎分節骨切り術など)を組み合わせた口ゴボの改善方法が検討されます。安易な自己判断を避け、3D-CTやセファロ分析(頭部X線規格写真)を用いた正確な診断を受けることが、後悔しない治療選択の鉄則です。