歴史とカルチャーの文脈から港を紐解くのも一興だ。熱海といえば、明治の文豪・尾崎紅葉が著した不朽の名作『金色夜叉』の舞台としてあまりにも有名である。海岸沿いには「お宮の松」と貫一・お宮の銅像が佇み、かつてのロマン溢れる時代へと思いを馳せることができる。
一方で、近年のサブカルチャーファンにとって熱海は別の顔を持つ。異色のミステリードラマ『熱海捜査官』のロケ地として強い存在感を放っており、どこかシュールで謎めいた港町の雰囲気に惹かれたファンが聖地巡礼に訪れる。現在はNetflixなどの動画配信サービスで作品を視聴した若い世代や海外のファンが再評価しており、昭和の文豪が愛した風景と現代のポップカルチャーが見事に重なり合っている。