村田氏は、長年培った圧倒的なアナログ技術に安住することなく、デジタル作画の黎明期から果敢に新たなツールを取り入れてきました。CLIP STUDIO PAINTをはじめとするデジタル環境への完全移行を果たした後も、ただ効率化を図るのではなく、「アナログの持つ生々しい筆圧感や掠れ」と「デジタルの持つ精緻な拡大編集機能」のハイブリッド化を極限まで追求しています。
3Dアセットを活用した背景のアタリ取りや、自作のカスタムブラシを用いた質感描写など、制作プロセスは極めて論理的かつ合理的です。しかし、最終的な仕上げ段階では、長年の経験に裏打ちされた肉筆のタッチを幾重にも重ねることで、CG特有の無機質さを完全に排除しています。
ツールの進化に振り回されるのではなく、自らの表現したいビジョンを実現するための手足としてデジタルを完全に手懐けているからこそ、毎ページが美術品のような密度を保ちながらも、驚異的なペースで原稿を量産できるのです。