黒死牟というキャラクターの真の恐ろしさ、そして同時に哀しさは、その内面に秘められた人間臭い葛藤にある。神に愛された天才・継国縁壱を弟に持った巌勝の苦悩。どんなに鍛錬を重ねても決して届かない圧倒的な才能の壁。彼はその差を埋めるためだけに人間性を捨て、鬼となる道を選んだ。
「私は一体何のために生まれてきたのだ」——最期に彼が発した問いかけは、あまりにも切なく、視聴者の胸を締め付ける。どれほど強大な力を手に入れ、400年の時を生きようとも、彼の魂はあの日弟に見捨てられたと感じた瞬間のまま凍りついていたのだった。