「銭湯感覚の数百円で朝まで宿泊できる」という言説は、現在の法令および施設運営の実態から見ると明確な誤解です。まず前提として、各都道府県の公衆浴場法施工条例により、いわゆる「普通公衆浴場(街の銭湯)」は営業時間が制限されており、完全な24時間営業を行っている施設は極めて限定的です。現在24時間営業やオールナイト営業を行っている拠点のほぼすべては、健康ランドやサウナビル、都市型スーパー銭湯(その他公衆浴場)に分類されます。
これらの施設で夜間を明かす場合、通常の入館料に加えて「深夜割増料金」が自動的に加算されます。2026年現在の深夜料金相場は、入館料と深夜割増を合わせて3,000円〜5,500円程度です。深夜割増料金が設定される背景には、労働基準法に基づく深夜割増賃金(22時〜翌5時の25%増以上の人件費負担)や、夜間の安全を維持する専従警備コスト、ボイラーおよび水質管理の維持費が重層的に関係しています。
一見すると「数百円」からは乖離しているように感じられますが、近年の都心部におけるビジネスホテルの1泊相場が平日でも1万5,000円〜2万5,000円前後に高騰している現状を鑑みれば、「ホテルの3分の1以下のコストで足を伸ばしてお風呂に入り、始発まで過ごせる」という点において、圧倒的なコストパフォーマンスを維持しているのは間違いありません。