温泉地といえば熱い湯に肩まで浸かって短時間で温まるイメージが一般的ですが、ここ南足柄の日帰り温泉「モダン湯治 おんりーゆー」が掲げる真骨頂は、まったく異なるアプローチにあります。最大の武器は、体温とほぼ同等に設定された約38℃の微温浴(ぬる湯)です。熱い湯に入ったときのような心拍数の急上昇や血圧の乱高下が起きにくく、30分から1時間ほどじっくりと湯に身を委ねることができます。
公式発表の温泉分析データによると、泉質は肌の角質をやわらげて老廃物を落としやすくする高pH値のアルカリ性単純温泉。湯上がりの肌がしっとりと吸い付くような感触から「美肌の湯」としても定評があります。露天風呂の目の前には手つかずの広葉樹林が広がり、頭上を揺らす木漏れ日や葉擦れの音に包まれるため、入浴そのものが森林セラピーの役割を果たします。
さらに来館者の胃袋を掴んでいるのが、旬の味覚をふんだんに取り入れた料理です。過去に親しまれていたランチバイキング形式の認知度も高いものの、現在は素材本来の生命力を味わえる御膳料理へと洗練されています。現地レストランのメニュー表には、契約農家から届く地元野菜を使った「あしがら御膳」や、胃腸をいたわる「とろろ汁御膳」、小田原産梅の自家製タルタルソースを添えた「チキン南蛮定食」などが並び、湯治の概念にふさわしい滋味あふれる食体験を提供しています。