多くの視聴者が「花男といえばこのセリフ」と即座に思い浮かべる「日曜、恵比寿ガーデンプレイス、時計広場、1時」。このアイコニックな言葉が放たれたのは、2005年10月期に放送されたファーストシーズン第4話(2005年11月11日放送)のラストシーンへと至る展開です。
それまで学園を牛耳り、つくしを執拗にいじめていた道明寺司(松本潤)が、彼女の反骨精神に惹かれ、強引に取り付けた「初デート」の約束でした。しかし、当日東京を襲ったのは記録的な大雨。つくし(井上真央)は行く気など毛頭なく、自宅でくつろいでいました。ところが、ふとした拍子に胸騒ぎを覚えたつくしが約束の時間を大幅に過ぎた夕暮れ時に広場へ駆けつけると、そこには雨具も持たず、ずぶ濡れになりながら約4時間ものあいだ立ち尽くしていた道明寺の姿があったのです。
当時の制作関係者やテレビ誌のインタビュー記録によると、このシーンが伝説化した背景には、単なる少女漫画的シチュエーションを超えた「身勝手な支配者から一人の純朴な恋する男への転落と再生」が鮮烈に描かれていた点にあります。傲慢の極みにあった道明寺が、寒さに震えながら見せた不器用な笑顔と「おせーよ」の一言。社会的地位や権力に頼ってきた青年が、天候と時間という「個人の力では抗えない犠牲」を進んで受け入れたことで、視聴者は彼の本気と純粋さを疑いようのない事実として受け止めました。
この第4話の雨のシーンは、その後エレベーターに閉じ込められる一夜の急展開へと繋がり、二人の距離を不可逆的に縮める決定打となりました。まさに物語全体のターニングポイントとなった場所だからこそ、時計広場はファンにとって不可侵の聖地となったのです。