連載完結から数十年が経過した現在も、ファンの間で白熱した議論が続くのが「作中最強キャラクターは誰なのか」という議論です。原作描写の精密な精査と武論尊氏・原哲夫氏の公式コメントに基づき、最新の客観的比較データを策定しました。
ここで核心となるのが、「ケンシロウとラオウの決着において、勝敗を分けた決定的な理由は何か」という問いです。
最終決戦において、ラオウもまたユリアを手にかけようとした極限の葛藤の中で「哀しみ」を理解し、北斗神拳究極奥義「無想転生」を体得していました。純粋な腕力と闘気の総量においては、依然としてラオウがケンシロウを上回っていたとする見解が一般的です。しかし、勝敗を分けたのは「哀しみの質と背負った魂の重み」でした。
ラオウが背負った哀しみは、自らの覇道のために切り捨ててきた者たちへの贖罪とユリアへの愛という、いわば「己の業(カルマ)」に起因するものでした。対してケンシロウは、シン、レイ、シュウ、トキといった敵味方すべての死と痛みをそのまま己の心に刻み込み、他者のために涙を流し続けてきた男です。「剛拳」に「哀しみ」を乗せようとしたラオウに対し、ケンシロウの拳は「哀しみそのもの」でした。己の弱さを完全に受け入れた人間が放つ一撃が、力への執着を捨てきれなかった覇王の拳をわずかに上回ったのです。