偽旗作戦の罠を見破る|歴史の自作自演と現代の心理戦を徹底解剖

偽旗作戦の罠を見破る|歴史の自作自演と現代の心理戦を徹底解剖

偽旗作戦の罠を見破る|歴史の自作自演と現代の心理戦を徹底解剖にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。

偽旗作戦(英語:False Flag Operation)という言葉は、16世紀から18世紀にかけての帆船時代、とりわけ海賊や国家公認の私掠船(しりゃくせん)の戦術に直接のルーツを持ちます。当時の国際海洋法秩序において、船籍を示す「国旗」は敵味方を判別する唯一絶対の識別手段でした。狡猾な海賊船は、友好的な同盟国や中立国の旗を掲げて標的の商船に油断させ、至近距離に接近した瞬間に自らの海賊旗(ジョリー・ロジャー)へと張り替えて急襲を仕掛けました。

この「身元を偽装して奇襲をかける」手口が近代以降、軍事・諜報機関の陸上作戦や国家間の政治闘争へと転用されました。現代の安全保障用語における偽旗作戦の定義は、「攻撃の主体が自らの身元を隠蔽し、敵対勢力や第三者が行ったかのように偽装して世論を欺く軍事・謀略工作」を指します。

仕掛けられる目的は明白です。国際社会において、理由なき先制攻撃は「侵略」として非難の対象となります。しかし、「敵から卑劣な先制攻撃を受けた」という被害者の構図を作り上げれば、自衛のための反撃という名目が成立し、国民の愛国心を沸騰させ、国際社会からの批判をかわすことが可能になります。心理学的に見れば、集団の結束を最も強固にする触媒は「不当な外敵からの攻撃」であり、偽旗作戦はその情動を意図的に作り出すための装置として機能してきました。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。