結論から明かすと、ピーピースルーに含まれる強力なアルカリ成分によって硬質塩化ビニル管(一般住宅で排水管に使われるVP管・VU管)が化学反応でドロドロに溶け去ることは原理的にありません。日本下水道協会や塩化ビニル管・継手協会の耐薬品性データが示す通り、塩化ビニル樹脂は水酸化ナトリウムやオルトケイ酸ナトリウムなどの強アルカリに対して極めて優れた耐性を備えているためです。
では、なぜネット上で「配管が溶けた」と騒がれる事態が後を絶たないのか。その決定的な原因は、ピーピースルーが水に溶解する際に発生する「溶解熱(反応熱)」と、使用者が誤って注ぎ込む「熱湯」の相乗作用にあります。化学的な腐食ではなく、許容温度を超えた高熱による物理的な熱軟化と熱変形こそが、配管トラブルの正体です。
和協産業が公開している製品安全資料でも明記されているように、顆粒状の薬剤が水分と触れると発熱反応が起こります。適正な水量と温度を守っていれば問題ありませんが、薬剤を過剰に投入したり熱湯を一気に注いだりすると、局所的に80℃以上の高温に達します。この高熱に耐えきれなくなった配管素材がグニャリと歪み、継ぎ手から外れたり薄い樹脂が変形したりした結果、ユーザーの目には「薬剤で配管が溶けた」と映ってしまうのです。