ネット上の言説で頻繁に見受けられる「大阪は万博や再開発で今後も無限に発展し、人口は増え続ける」「いや、日本全体が衰退しているのだから大阪もすぐにゴーストタウン化する」という極端な二論はいずれも正確ではありません。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が公表する大阪市将来人口推計と現実の間には、知られざるギャップが存在します。
まず押さえるべき盲点は、過去の社人研予測において「大阪市は2020年頃から急速な人口減少に転じる」と推計されていた点です。実際にはこの予測を大きく上回るペースで都心流入が継続し、人口減少局面への突入は大幅に先送りされました。この点において、大阪市の都市としての求心力は専門家の想定を凌駕したと言えます。
しかし、その内訳を大阪市人口ピラミッド高齢化率の観点から精緻に解剖すると、将来の時限爆弾が見えてきます。西区や北区の高齢化率が16%〜18%前後と全国平均(約30%)を大きく下回る「極めて若い街」であるのに対し、大正区や東住吉区、西成区では高齢化率がすでに32%〜35%に達しています。
今後10〜15年スパンで見れば、団塊ジュニア世代が高齢層へと完全にシフトするタイミングで、現在「人口を維持している」と錯覚されている郊外・下町エリアの自然減が一気に加速します。都心のタワマン群が再開発サイクルの一巡によって新築供給ストップを迎えた瞬間、市全体を支えてきた人口のダムが決壊するリスクを、客観的な将来推計データは冷徹に示唆しています。