「元気を出して」の歴史を語る上で欠かせないのが、1984年2月14日にリリースされた薬師丸ひろ子のファーストアルバム『古今集』です。当時、一時的に歌手活動を休止し、作詞・作曲家としての活動へシフトしていた竹内まりやに対し、映画界のトップスターとして絶大な人気を誇っていた薬師丸ひろ子の制作陣から楽曲提供の依頼が舞い込みました。
竹内まりやは当時のインタビューや自著の振り返りにおいて、「当時の薬師丸さんが持っていた、透明感とどこか愁いを帯びた独特の清潔感あふれる声に強くインスパイアされた」と語っています。失恋に打ちひしがれる同世代の女性、あるいは少し年上の友人を、年下の少女が優しく励ますような世界観――その青澄んだイメージから紡ぎ出されたのが、この名フレーズでした。
薬師丸ひろ子の歌声で世に出た原曲(椎名和夫編曲)は、アコースティックを基調とした可憐で清純な響きを持ち、ファンの間で瞬く間に「隠れた名曲」として絶賛を集めました。この提供曲の成功が、竹内まりや自身のシンガーソングライターとしての復帰への大きな足がかりとなったのです。