ネット検索において常に上位を占めるのが「モモンガやムササビは自宅で飼えるのか」という強い好奇心です。この問いに対しては、法的な観点から白黒を明確にしておかねばなりません。
日本の野生種は完全飼育不可|鳥獣保護管理法による厳罰
日本固有種であるニホンモモンガ、エゾモモンガ、そしてムササビを一般家庭でペットとして飼育することは、法律により固く禁じられています。環境省が管轄する「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」において、これら野生動物の捕獲、飼養、譲渡は厳格に規制されています。学術研究や傷病個体の保護といった特殊な行政許可を得ない限り、山林で拾ったり捕まえたりして飼育した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金という重い刑事罰が科されます。 また、かつてペットショップで流通していた北米原産の「アメリカモモンガ」についても、2005年に施行された感染症予防法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)に基づき、ペストや狂犬病等の人獣共通感染症の侵入を防ぐ目的で原則として輸入が全面禁止されました。国内ブリード個体が極めて稀に流通するケースを除き、現在ショップの店頭から姿を消しています。
ペットショップの「モモンガ」の正体はフクロモモンガ
では、現在ペットショップのケージで「モモンガ」として販売されている生体は何なのでしょうか。その正体は、オーストラリアやニューギニア島を原産とする有袋類「フクロモモンガ(Sugar Glider)」です。 フクロモモンガは腹部に育児嚢(ポケット)を持つカンガルーやコアラの遠い親戚であり、生物学的にはリス科のモモンガとは赤の他人です。外見が滑空に適した姿へ似通ったのは、異なる系統の生物が似た環境に適応して同じ形態を獲得する「収斂進化(しゅうれんしんか)」の典型例に過ぎません。法律上も家畜化された外来動物として扱われるため、適切な環境を用意すれば一般家庭での飼育が認められています。