九州の遊園地文化を語る上で避けて通れないのが、平成から令和にかけて相次いだ巨大施設の幕引きと、その後の変遷です。
1990年の開業以来、北九州市八幡東区のシンボルだったスペースワールド跡地の現在の状況を現地で追跡すると、かつての宇宙テーマパークは巨大商業複合施設「THE OUTLETS KITAKYUSHU(ジ アウトレット北九州)」へと完全に姿を変えています。敷地内には北九州市科学館「スペースLABO」や大型エンターテインメント施設「ASOBLE」が整備され、かつてパークが担っていた「子どもの知的好奇心を刺激する場」というDNAは、装いを新たに継承されています。現地を訪れた旧スペースワールドファンからは「タイタンの雄姿が消えた寂しさはあるが、家族で日常的に訪れる拠点として賑わいが戻ったことは素直に喜ばしい」という率直な実感が聞かれました。
対照的に、多くの福岡市民に惜しまれながら幕を下ろしたのが「かしいかえん シルバニアガーデン」です。かしいかえんの閉園理由と経緯を西日本鉄道の公式発表資料や事業構造改革の記録から辿ると、1938年の開園から80年以上にわたり親しまれたものの、施設の著しい老朽化、少子化に伴う中長期的な来園者減少、さらにコロナ禍による経営打撃が重なり、2021年12月30日をもって営業終了の決断が下されました。
かしいかえんの閉園は、単に一つの遊園地が消えたという出来事にとどまりません。昭和の高度経済成長期に確立された「鉄道会社が沿線開発のために遊園地を造り、休日のファミリー客を運ぶ」というビジネスモデルが、自家用車の普及やレジャーの多様化によって限界を迎えたことを象徴する出来事でした。現代のテーマパークが生き残るためには、単なる乗り物の提供ではなく、そこでしか味わえない世界観の構築やデジタル体験の付加が不可欠であることを物語っています。