協会の改革路線が順風満帆に見えたさなか、激震が走ったのが2022年に発覚した助成金問題でした。日本スポーツ振興センター(JSC)からの助成金を巡り、日本代表の合宿や遠征において、実際には実施されていない、あるいは規程に反する形態で行われた疑いが浮上。メディア各社で「不適切受給疑惑」として大々的に報じられ、協会のガバナンス能力が厳しく問われる事態となりました。
この混乱に対し、協会は直ちに弁護士らを中心とする第三者委員会を設置して徹底調査を開始しました。公表された調査報告書によると、個人の横領や私腹を肥やす意図的な不正会計ではなかったものの、指導者や事務局における会計ルールの認識不足、そして「強化現場の便宜を優先して事務手続きを軽視した」という長年の甘い体質が浮き彫りになりました。結果として、協会は該当する助成金を返還し、関係役員の処分を実施するに至りました。
当時会長を務めていた武井壮氏は会見で深々と頭を下げ、「透明性の高いクリーンな連盟への再構築」を宣言しました。この事件は組織にとって手痛い痛点となりましたが、経理システムのクラウド統合や外部監査の厳格化など、旧態依然としたスポーツ団体の悪しき慣習を断ち切る決定的な契機となったことも事実です。