SNSや動画プラットフォームでは「リビングで寄り添って眠る大型犬」の平和な姿が拡散され、共感を集めています。しかし、現役のドッグトレーナーやブリーダーへの取材、飼い主コミュニティの投稿を丹念に追跡すると、画面越しには映らない過酷な現実が浮かび上がってきます。
取材で多くのベテラン飼い主が口を揃えるのは、「排泄物の量と日々の清掃負荷」です。大型犬の一回あたりの尿量は小型犬の数倍におよび、万が一家の中で粗相をした場合のリカバリーには多大な労力を費やします。また、換毛期の抜け毛は掃除機を1日に2〜3度稼働させても部屋の隅に毛玉が転がるほどであり、ルンバなどのロボット掃除機だけでは到底追いつきません。
さらに深刻なのがシニア期の「介護」です。大型犬は生後7〜8年でシニア期に差し掛かります。変形性関節症や変性性脊髄症(DM)などで自力歩行が困難になった場合、30kgを超える体を人間一人で抱え上げて移動させ、排泄を介助しなければなりません。大手ペット保険会社「アニコム損保」が発行する『家庭どうぶつ白書』でも示されている通り、加齢に伴う通院頻度と看護負担は小型犬とは比較にならない重圧として飼い主の肩にのしかかります。