再建プロジェクトの大きな転換点となったのが、2022年秋に実施された公式クラウドファンディングでした。当初の想定をはるかに超える支援が殺到し、わずか数カ月で目標額を大幅に突破する4,000万円以上の支援金が集まったのです。これに加え、北九州市や地元企業、映画関係者によるチャリティ興行からの寄付が積み重なり、総事業費数億円規模にのぼる新築再建計画が現実のものとなりました。
新しく誕生した小倉昭和館は、単に過去をノスタルジックに復元した施設ではありません。現代のミニシアターに求められる最高水準の鑑賞環境と、昭和の温かみを高度に融合させたハイブリッド型シネマです。旧館と現在の新館における主要スペックの比較は以下の通りです。
ロビーの一角には、焼け跡から掘り起こされた旧劇場の金庫や、煤にまみれた装飾タイルの断片が静かに展示されています。「火災の悲劇をなかったことにするのではなく、街の歴史の一部として背負っていく」という館主の意志が、空間の細部にまで息づいています。