三郎氏の旅立ち後、太田家にはもう一つの大きな試練が訪れます。母・瑠智恵さんが認知症を患い、太田夫妻は献身的な介護と向き合うことになりました。光代社長が中心となってケアを支え、太田さんも仕事の合間を縫って母に寄り添い続けましたが、瑠智恵さんも2016年に息を引き取りました。
最愛の両親を相次いで見送った経験は、太田光さんの人間性や死生観をより一層深める契機となりました。2026年を迎えた現在も、太田さんが時折語る「両親の思い出」には、照れ隠しの毒舌の中に計り知れない愛が込められています。父が残した建築への情熱、母が注いでくれた愛情は、太田光という表現者の骨格として今も鮮やかに息づいています。