原敬の政治家としての経歴を語る上で欠かせないのが、立憲政友会での活動です。伊藤博文が創設した政友会に草創期から参画した原は、抜群の組織統率力と実務能力を発揮し、党幹事長や内務大臣を歴任。やがて伊藤や西園寺公望の後を継ぎ、第3代総裁となりました。
原内閣が断行した政策の要点は、以下の4つに集約されます。
- 高等教育の拡充:大学令の公布により、帝国大学以外の私立大学(早稲田、慶應、明治など)や公立大学の設立を正式に認可。
- 産業基盤の整備(我田引鉄):全国的な鉄道網や道路網の整備、港湾改修を推進し、地方経済の活性化と党勢拡大を両立。
- 国防計画の推進:第一次世界大戦後の国際情勢を見据え、軍備の近代化と対外協調路線を模索。
- 選挙法の改正:小選挙区制を導入し、納税資格を直接国税3円以上に引き下げて有権者を拡大(普通選挙の即時導入には慎重姿勢を崩さず)。
理想論に流されず、利益誘導と党勢拡大を巧みに組み合わせながら統治を進める手法は「妥協の政治技術」とも評され、近代日本の統治システムを大きく前進させました。