それから2年後の2020年11月29日、第40回ジャパンカップ。このレースは「日本競馬史上最大のドリームマッチ」としてファンの記憶に刻まれています。天皇賞(秋)を制し、シンボリルドルフやディープインパクトを抜く前人未到の芝G1・8冠を成し遂げていたアーモンドアイ。陣営が選んだ引退の花道は、あまりにも過酷で、あまりにもドラマチックな挑戦でした。
立ちはだかったのは、同年に無敗でクラシック3冠を制した牡馬コントレイルと、同じく無敗の牝馬3冠を達成したデアリングタクト。史上初めて「3頭の3冠馬」が一堂に会する世紀の決戦に、日本中が熱狂の渦に包まれました。
天皇賞(秋)からの厳しい中3週というローテーションに、ファンや専門家の間では状態面を懸念する声も少なくありませんでした。しかし、管理する国枝栄調教師をはじめとする美浦・国枝厩舎のスタッフは、彼女の回復力と闘志を極限まで信じ抜いて送り出しました。迎えた本番、トーラスジェミニとキセキが大逃げを打つタフな展開のなか、アーモンドアイは中団前目で冷静に脚を溜めます。直線で堂々と抜け出すと、猛追するコントレイルとデアリングタクトの追撃を封じ込め、芝G1最多9冠という不滅の大金字塔を打ち立てて有終の美を飾ったのです。