松下政経塾が設立当初から世間を驚かせている最大の要因の一つが、手厚すぎる育成システムです。一般的な大学院や公共政策スクールへ進学する場合、年間数百万円規模の授業料や生活費の工面に追われるケースが珍しくありません。しかし、松下政経塾では学費が一切不要であるばかりか、塾生全員に「研修資金」が無償支給されます。
公益財団法人の公式開示資料によると、塾生には月額20万〜25万円前後の生活支援手当が支給され、さらに個別の研究・フィールドワークのための活動資金(年間数百万円規模)がバックアップされます。神奈川県茅ヶ崎市にある広大な塾舎での寮生活を含め、自己負担を極限まで抑えて社会課題の探求に没頭できる環境が整えられています。この資金は返還義務のない給付型であり、松下幸之助の「私利私欲を離れ、天下国家のために心血を注ぐ人物を育てる」という崇高な理念に基づいています。
当然ながら、門戸を叩く志望者の競争は極めて熾烈です。応募資格は原則として22歳から35歳前後まで(大学卒業相当以上、社会人経験者歓迎)と幅広く設定されているものの、全国から気鋭の若手官僚、地方議員、大手企業出身者、学術研究者が殺到します。入塾選考の難易度は国内最難関クラスに位置し、例年の倍率は数十倍から年によっては100倍近くに達します。書類選考や複数回の面接に加え、合宿形式の適性審査を通じて知力・胆力・人間性が厳しく見極められます。