本作の圧倒的な説得力を支えたのは、俳優陣による繊細極まりない演技のアンサンブルでした。
母親としての慈愛と、20代女性の瑞々しい恋心を完璧に両立させた竹内結子さんの演技は、日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞するなど各方面で絶賛されました。雨の森で見せる戸惑いの表情から、息子のために卵焼きを焼く手つき、別れを受け入れた際の柔らかな微笑みまで、その一挙手一投足が観客の記憶に刻まれています。
不器用で情けなくも、一途に家族を愛する巧を演じた中村獅童さんの好演も光ります。当時、歌舞伎界の新進気鋭として注目されていた彼が見せた繊細な内面描写は、従来のイメージを大きく覆しました。
そして、物語の感情的な支柱となったのが、息子・佑司役を演じた武井証さんです。てるてる坊主を逆さに吊るして「雨がやまないように」と願う無邪気な姿や、母との別れを予感した瞬間の涙は、多くの観客の涙腺を刺激しました。武井さんはその後も多数の映画やドラマで活躍し、成人後は学問への専念などを経て新たな人生のステージを歩んでいますが、当時の名子役としての存在感は今なお色褪せていません。