『ジグソーパズル』が世に放たれたのは2018年11月のことでした。作詞・作曲・編曲のすべてをまふまふ自身が手掛け、ボーカロイドの鏡音レン歌唱バージョンと、まふまふ本人歌唱バージョンがほぼ同時に公開されるという、ネット発アーティストならではの立体的なアプローチが取られました。
のちにリリースされた大ヒットアルバム『神楽色アーティファクト』(2019年)にも収録され、まふまふのソロワークスにおける転換点を象徴する1曲として位置づけられています。無機質でどこか少年性の残る鏡音レンの電子音ボーカルが「冷徹な不条理」を際立たせる一方、まふまふ本人の歌唱版では、感情の限界を突破した悲鳴のようなシャウトや息づかいが生々しく響き渡り、聴き手に強烈なカタルシスを与えます。同一のメロディと歌詞でありながら、表現媒体の違いによってまったく異なる後味を残す手法は、ボーカロイド文化と歌い手文化の双方を熟知した彼ならではの真骨頂です。