インターネット上の動画やSNS投稿を見て、「肘内障の整復は自分でできるのではないか」と考える保護者も少なくありません。医学的には、整復手技として回内法(かいないほう)および回外法(かいがいほう)という2つのアプローチが確立されています。
一般的な整復動作の概念としては、術者が子どもの肘関節を固定し、橈骨頭部分に親指を添えながら前腕を回旋させ、ゆっくりと肘を屈曲させていきます。整復が成功した瞬間、指先に「コクッ」「プチッ」という微小なクリック音(整復音)が伝わり、挟まっていた輪状靭帯が元の位置へと収まります。
しかし、保護者が家庭で無理に自力整復を試みることは極めて危険です。その理由は3点あります。
- 骨折の悪化リスク:もし肘内障ではなく不全骨折(ヒビ)だった場合、無理に関節をひねることで骨のズレを決定的に悪化させ、手術が必要になる恐れがあります。
- 靭帯の完全断裂・嵌頓(かんとん):力任せに操作すると、挟まった輪状靭帯をさらに強く締め付け、組織を損傷させる危険性があります。
- トラウマの形成:恐怖で激しく暴れる子どもを無理やり押さえつけて処置を行うと、強い恐怖心からその後の医療機関での診察が困難になります。
過去に何度も肘内障を経験しており、医師から具体的な整復指導を受けているような特殊なケースを除き、自己判断による処置は避け、速やかに医療機関を受診することが鉄則です。