コンサートホールで実際に音を浴びた際、体感する「音圧」や「響きのグラデーション」が異なるのは、発音体としての物理的特性によるものです。
オーケストラの最大の特徴は、同種の弦楽器が数十本単位で同じ旋律を弾く「ユニゾン効果」にあります。微細なピッチやボウイングの揺らぎが重なり合うことで、ふくよかで奥行きのある空気のヴェールが作られます。金管楽器の強奏時であっても、底辺を支える巨大な弦の響きがクッションとなり、ホール全体を包み込むような立体的な音場が形成されます。
対する吹奏楽の魅力は、指向性の強い直線的なダイナミズムと原色の音色対比です。クラリネットやサックスは1人ひとりの発音が明確であり、アタック(音の立ち上がり)の鋭さは管楽器ならではの強みです。全日本吹奏楽コンクールなどで聴かれる極限まで研ぎ澄まされたユニゾンやコラールは、弦楽器とはまた異なる、風が吹き抜けるようなソリッドな迫力と圧倒的な音圧で聴き手を圧倒します。