ナイフを併用する肉料理や魚料理において、フォークを持つ手右手左手の基本配置は、左手にフォーク、右手にナイフです。これは右利きを前提とした中世ヨーロッパの食卓で、利き手である右手に「切るための刃物(ナイフ)」を持たせ、逆の手で肉を固定した機能的合理性に由来します。
一方で、ナイフを全く使用しない料理、あるいはあらかじめ一口大に刻まれた料理を口へ運ぶ場面では、テーブルマナーフォーク右手での使用が公式に認められています。これがナイフなしフォーク右手理由の明確な根拠です。ナイフという相棒が不在である以上、最も扱いやすい利き手に持ち替えて食事を進めることは、不自然な手の震えを防ぎ、美しく安定した所作を保つための理に適った選択肢といえます。
ただし、文化圏によって「持ち替え」に対する厳格さは大きく二分されます。イギリスやフランスを源流とする欧州の伝統的なコンチネンタル・スタイルでは、食事中にフォークを右手へ持ち替える行為を「落ち着きがない動作」と見なす傾向がかつて強く残っていました。これに対し、開拓期のアメリカで定着した「ジグザグ・スタイル」は、切った後にナイフを皿の縁に置き、堂々とフォークを右手に持ち替えて食す作法です。このフォーク持ち替えアメリカ式は、現代の国際標準プロトコール(国際儀礼)においても完全に正式なマナーとして認知されています。