東京スカパラダイスオーケストラの歩みは、決して平坦な道ばかりではありませんでした。1980年代後半、パーカッショニストのASA-CHANGを中心に結成されたバンドは、ストリートから瞬く間にメジャーシーンへと駆け上がりました。しかし、バンドが急速に拡大する過程で、メンバー間の方向性の違いによる脱退や、避けることのできない悲劇が相次ぎました。
1993年には創設者であるASA-CHANGが脱退。さらに1995年には、バンドの精神的支柱であり初代クリーンヘッドギタリストとしてカリスマ的人気を誇った青木達之氏の突然の離脱(後に1999年に急逝)、1999年にはフロントマンとして熱狂を生み出していたボーカルのクリーンヘッド君(Cleanhead Kim)こと前田荒木氏の脱退など、中核メンバーが次々とバンドを去る事態に見舞われました。そして何よりバンドを揺るがしたのが、ドラマー青木達之氏の逝去と、2003年のピアニスト兼キーボーディスト沖祐市の盟友でもあった川上つよしらと共にバンドを支えたオリジナルメンバー、ギムラ氏の病死でした。
相次ぐ中心人物の喪失に対し、多くのバンドであれば活動休止や解散を選択しても不思議ではない状況でした。しかし彼らは、「歩みを止めないことこそが、去っていった仲間への最大の敬意である」という不屈の意志を共有。ドラムに茂木欣一(フィッシュマンズ)を正式メンバーとして迎え入れるなど、新たな血統と絆を結び直すことで、奇跡的な再生を果たしたのです。