ネット上の掲示板や一部の口コミでは、「海苔とご飯のセットに3,000円近く払うのは割高ではないか」といった懐疑的な意見が散見されます。しかし、この見方は料理の構造を分解していない表面的な誤認と言わざるを得ません。
実態として提供されているのは、家庭用の板海苔ではなく、1年の中でわずかな期間しか収穫されない初摘み(一番摘み)の中でも選りすぐりの等級品です。口溶けの速度とアミノ酸含有量が一般的な海苔とは根本的に異なります。さらに、ご飯の温度によって海苔の風味を損なわないよう、シャリ切りの温度管理や重箱内部の湿気逃がしに至るまで、料亭さながらの職人技が介在しています。
また、食事の後半に提供される「お茶漬け用のお出汁」は、山本山が誇る高級茶葉の出汁と厳選された鰹・昆布のブレンド。最後の一口まで香りのレイヤーが崩れないよう設計されており、単なる「高級のり弁」ではなく「海苔を主役にした日本料理の小宇宙」と捉えるのが妥当な評価です。