ウェブやSNS上では、いわゆるヤクザ武勇伝真相として「1人で数十人を相手に立ち回った」「義理人情に厚く弱者を助けた」といった美談がまことしやかに拡散されがちです。しかし、実際の事件捜査記録や当時の司法関係者の証言を突き合わせると、これらのおおくは後年のエンターテインメントによる創作や誇張であることが判明します。
たとえば、昭和の映画産業において大ヒットを記録した東映実録路線は、飯干晃一らの秀逸なルポルタージュを原作としつつも、観客を惹きつけるための劇的な演出や脚色を大量に施していました。凄惨なリンチ殺人や民間人への恐喝、麻薬密売といった組織の陰惨な資金源の実態は意図的に捨象され、「親分への忠義」や「男のやせ我慢」といったセンチメンタリズムにすり替えられた側面は否めません。
ネット上の掲示板や動画サイトで流布する画像に関しても、後年の役者のスチール写真や無関係な事件現場の画像が、あたかも「本物の伝説の幹部写真」として誤認・拡散されているケースが散見されます。視覚情報のインパクトに惑わされず、撮影年月日や撮影者、出典元の司法・報道アーカイブを冷静に確認する情報リテラシーが求められます。