旅行者が最も直面しやすいトラブルが、「現地の天気予報は晴れマークだったのに富士山がまったく見えない」という現象です。富士山観測データや気象統計を紐解くと、富士山全体の年間平均視認率は約45〜50%前後にとどまります。つまり、無計画に訪れた場合、2回に1回は視界不良に見舞われる計算です。
富士山の視界を遮る主因は、標高3,776メートルという孤峰特有の地形性上昇気流にあります。太平洋からの湿った空気が山体にぶつかることで、平野部が快晴であっても山頂周辺にのみ局地的な笠雲や吊るし雲が急速に発達します。単に「晴天だから見える」と思い込むことが、鑑賞の失敗を生む最大の落とし穴となっています。