では、具体的に何が失われ、何が残っているのでしょうか。製造ラインで生じる「栄養破壊」の実態を整理すると、ジュースの強みと弱みがはっきりと浮き彫りになります。
最も大きな損失を受けるのが食物繊維です。食物繊維には水に溶ける「水溶性」と水に溶けない「不溶性」の2種類がありますが、ジュースの滑らかな喉越しを実現するため、絞りかすとして大量の不溶性食物繊維が取り除かれます。腸内環境を整え、便通を促し、糖の吸収を穏やかにする不溶性食物繊維の多くが失われてしまう点は見逃せません。また、熱に弱いビタミンCや生の野菜に含まれる酵素類も、加熱殺菌の過程で大きく減少します(一部製品ではビタミンCを後から添加して補っています)。
一方で、ジュース化によって生野菜を食べる以上のメリットを享受できる栄養素もあります。その代表格がβ-カロテンやリコピンといったカロテノイド類です。これらの抗酸化成分は硬い植物細胞壁の中に閉じ込められているため、生のまま噛んで食べても消化吸収されにくい性質を持ちます。破砕・加熱処理されたジュースの状態であれば、体内への吸収率が生野菜の2〜3倍以上に跳ね上がることが各種研究で立証されています。さらに、体内の塩分排出を促すカリウムなどのミネラル類も、熱に強くジュース内にしっかり残留します。