政治ニュースで頻繁に登場する「閣議決定」。これは内閣が一体となって政府の最終意思を決定する唯一無二の手続きです。
閣議は首相官邸の閣議室で行われ、最大の特徴は「全会一致」が憲法上の慣習として徹底されている点にあります。多数決ではなく、閣僚が一人でも署名を拒否すれば閣議決定は成立しません。もし意見が対立して妥協がつかない場合、首相はその大臣を罷免して自ら兼任するか、新たな大臣を任命して無理やり全会一致を作り出す権限(閣僚罷免権)を行使します。閣議書には筆と墨を用いて伝統的な「花押(かおう)」と呼ばれる独自のサインを記すのが習わしです。
一方、国会答弁と官僚の補佐の関係性は、日本の行政システムを象徴する極めて精緻なドラマです。国会審議の前夜、野党議員から提出された「質問通告」をもとに、省庁の各局・課のエリート官僚たちが徹夜で想定問答を作成します。これが「大臣レク」と呼ばれる深夜の勉強会で大臣に叩き込まれます。
国会本会議や委員会中継を見ていると、大臣の後ろや横に座る官僚(政府参考人)がすっとペーパーを差し入れたり、耳打ちをしたりする場面が映し出されます。これを「官僚の操り人形」と揶揄する声は少なくありません。しかし実情は、法律の条文解釈や過去の答弁との整合性、予算の厳密な数字など、一言のブレも許されない高度な法治国家の防衛策でもあるのです。