英国各地のカウンシル(地方議会)および主要都市の市長選が一斉に行われた今回の選挙戦において、メディア各社が伝えたイギリス地方選挙結果速報の数字は、政治アナリストらの事前予測をも上回る劇的な幕切れを記録しました。100を超える地方議会、数千議席が争われた結果、与党であった保守党は改選議席の半分近くを失う大惨敗を喫し、対する労働党が北部・中部の旧工業地帯「レッド・ウォール(赤い壁)」のみならず、イングランド南部の保守党地盤(ブルー・ウォール)へも雪崩を打って侵食しました。
この激変を理解するうえで不可欠なのが、イギリス地方議会選挙の仕組みです。英国の地方議会は単一自治体(ユニタリー)、大都市圏ディストリクト、非都市ディストリクトなどに分かれ、一部は「1回で全議席改選」、一部は「毎年3分の1ずつ改選」という複雑なローテーション制を採用しています。小選挙区単記投票制(FPTP)が主流であるため、支持率のわずかな傾きが獲得議席数に極端なレバレッジとなって反映されます。今回の選挙では、まさにこの制度的特性が保守党に致命傷を与え、労働党および自由民主党への地滑り的議席移動を引き起こしました。
開票センターの張り詰めた空気の中、開票立ち会いを行った現地通信社の記者は「保守党の堅固な牙城と見なされていた選挙区で、開票箱を開けるたびに赤い労働党の票束が積み上がっていく光景に、陣営関係者が青ざめて言葉を失っていた」と当時の緊迫した様子を証言しています。