仙山線が抱える最大の弱点は、仙台近郊の都市型通勤路線としての顔と、奥羽山脈を越える過酷な山岳路線としての顔という、まったく性質の異なる二面性を併せ持っている点にあります。遅延や運転見合わせを引き起こす主な要因は、以下の4点に集約されます。
第一に、作並〜山寺間にまたがる奥羽山脈越えの大雪と気象急変です。標高が高く豪雪地帯である面白山高原周辺では、冬季に降雪量が跳ね上がり、スノーシェルターや除雪設備を備えていても線路内の積雪やポイント(分岐器)不転換が発生しやすくなります。
第二に、沿線の森林から線路を塞ぐ倒木・倒竹の多さです。特に水分を多く含んだ重い雪や春先・秋口の強風、台風時には、架線に樹木が接触して停電や架線断線を招き、物理的な撤去作業に長時間を要します。
第三に、ニホンカモシカやシカ、イノシシとの動物衝突です。山間部を走行中、列車が野生動物と接触すると、安全確認や車両点検、場合によってはブレーキ系統の緊急修繕のためにその場で30分〜1時間以上の停車を余儀なくされます。
そして第四に、全線にわたる単線区間の制約です。複線化されている仙台〜東照宮間などのごく一部を除き、仙山線はほぼ全線が単線です。上り列車が山間部で15分遅れると、行き違い待ちを行う下り列車も必然的に15分遅れ、ダイヤ全体の乱れが瞬く間に全線へ波及する構造的脆弱性を抱えています。