田代氏が薬物に手を染め、さらに幾度も再犯を繰り返した背景には、過密な芸能界でのプレッシャーと強烈な孤独感、そして薬物依存症特有の脳内メカニズムが存在します。手記や過去の対談番組において、本人は「周囲の期待に応え続けなければならない重圧と、眠れない夜の不安から逃れるために手を出してしまった」と述懐しています。
昭和から平成へと移り変わる過渡期のテレビ業界において、田代氏は「志村けんのだいじょうぶだぁ」をはじめとする超人気番組のメインキャストとして多忙を極めていました。24時間カメラに追われ、常に笑いを生み出し続けなければならない現場のストレスは、神経をすり減らすのに十分な過酷さでした。
一度薬物に依存してしまうと、脳の報酬系神経回路が不可逆的な変性を起こします。どれほど本人が「二度と使わない」と強い決意を固めても、ストレスや些細なきっかけ(昔の知人からの接触、孤独、疲労など)によって激しい渇望(トリガー)が引き起こされます。専門機関の臨床データが示す通り、覚醒剤は「意志の強さ」だけで断ち切ることは医学的に不可能であり、孤立した環境こそが再使用の最大の温床となったのです。