新庁舎のデザインを手掛けたのは、日本を代表する建築家・隈研吾氏だ。伊丹の伝統的な酒造文化に息づく木組みの技法や構造美を現代的に解釈し、温かみのある木材を惜しみなく配した空間設計が際立つ。建物全体を包み込むルーバーには兵庫県産の木材が採用され、歳月の経過とともに深みを増す風合いが周囲の街並みと見事に調和している。
単に意匠として木を使っているわけではない。吹き抜け構造を通じて建物内の空気循環を最適化し、季節に応じた自然換気を促す省エネ構造が組み込まれている。庁舎内を歩くと、まるで森の中を散策しているかのような開放感があり、行政手続きに付きまとう独特の緊張感を和らげてくれる。