デビュー当時から、池脇千鶴は単なるアイドル女優にとどまらない異彩を放っていた。市川準監督の映画『大阪物語』での衝撃的なデビュー以来、人間の生々しい感情や哀愁を表現する力において彼女の右に出る者はいない。
『ジョゼとトラと魚たち』で見せた、障害を抱えながらも逞しく生きるヒロインの切なさと強さ。あるいは映画『そこのみにて光輝く』での狂おしいほどの人間味。彼女は一貫して、綺麗事だけでは済まない生身の人間を演じ続けてきた。画面上で「衰え」や「生活感」を包み隠さず晒すことができる潔さこそが、彼女の役者としての尊厳であり、本質である。