多発性嚢胞腎(常染色体優性多発性嚢胞腎:ADPKD)は、遺伝性の腎疾患の中で最も頻度が高い疾患です。最大の特徴は、両親のどちらかがこの病気を持っている場合、男女を問わず50%の確率で子どもに遺伝するという点にあります。
この高い遺伝確率ゆえに、家族や親族に透析患者や脳動脈瘤の既往歴がある家庭が多く見られます。著名人が病気をカミングアウトする際にも、「親の闘病を見ていたため、自分もいずれ発症する覚悟を持っていた」「自分の子どもに遺伝しているのではないかという不安と向き合ってきた」という切実な告白が少なくありません。
原因となる遺伝子変異(PKD1またはPKD2)によって腎臓の尿細管細胞に異常が生じ、内部に液体が溜まった嚢胞が無数に形成されます。20代の頃は正常な腎臓の大きさを保っていても、加齢とともに嚢胞が風船のように膨らみ、正常な腎組織を圧迫していくのがこの病気の本質です。