三豊の食文化を語る上で、讃岐うどんの存在は外せない。だが、ここで味わうべきはガイドブックの定番店だけではない。早朝から地元農家が軽トラックで乗り付ける製麺所では、打ち立て・茹でたての麺に生卵と地元の出汁醤油を回しかけるだけのシンプルな一杯が、驚くほどのコシと小麦の香りを主張する。日常に根ざしたその味こそ、真の贅沢と言える。
さらに近年、地域の食生態系を面白くしているのが、若手シェフや移住者によるローカルガストロノミーの台頭だ。三豊の豊かな日照時間が育む高糖度のフルーツや朝獲れの魚介、地元に伝わる伝統的な発酵調味料を取り入れたビストロやピッツェリアが点在。獲れたての食材をその日のうちに調理する一皿には、瀬戸内のテロワールが見事に凝縮されている。