境界性パーソナリティ障害(BPD)のパートナーや家族と接する人が最も深く悩むのが、「昨日まで絶賛されていたのに、些細なきっかけで激しい攻撃を受ける」という極端な評価の反転です。精神医学において「スプリッティング(白黒思考・二分法)」と呼ばれるこの現象は、他者を「完璧な味方」か「完全な敵」のどちらかでしか捉えられない防衛機制に由来します。
国立精神・神経医療研究センターなどの臨床報告でも示されている通り、境界性人格障害の特徴と原因の根底には、幼少期の愛着形成不全やトラウマ、生来の感情脆弱性が複雑に絡み合っています。彼らは「自分は誰からも愛されない」という強烈な恐怖を抱えており、ほんの数分連絡が遅れただけでも「見捨てられた」と脳内で破局的な解釈を下してしまいます。
周囲が境界性パーソナリティ障害に振り回される決定的な要因は、相手の「見捨てられ不安」に対して過剰に応答し、相手の感情の責任まで背負い込んでしまう点にあります。相手の感情の嵐に巻き込まれず、客観的な事実と主観的な感情を切り離す姿勢を持たない限り、支援側のメンタルヘルスが先に崩壊してしまいます。