名古屋は全国でも屈指の「喫茶店王国」として知られています。朝の時間帯にドリンク代だけでトーストやゆで卵が付くモーニングサービスは、繊維産業などで栄えた尾張地方のビジネスマンに対するおもてなしから発展した文化です。
その激戦区においてコメダ珈琲店が頭角を現した背景には、徹底した顧客目線の差別化戦略がありました。
他チェーンが省スペース化や回転率の向上を追求する中、コメダはあえて逆を行き、高いパーテーションでプライベート感を確保したボックス席と、ふかふかのソファを配置しました。さらに、名古屋名物の小倉トーストや、熱々のデニッシュパンにソフトクリームを乗せた看板デザート「シロノワール」(1977年誕生)など、独自のメニュー開発に力を注ぎました。発祥の地・名古屋で磨かれた「圧倒的なくつろぎ空間」は、時代や地域を超えて全国の消費者の心を掴む原動力となったのです。