しかし、ドラマ制作の現場は決して立ち止まっていなかった。ここ数年で評価基準は「世帯視聴率」から「個人視聴率」、そしてTVerや自社配信サービスFODにおける「見逃し配信再生数」や「配信登録者数」へと劇的にシフトしている。お茶の間全体に向けた大味な作りから、特定の熱狂を生むエッジの効いた脚本作りへの転換が始まった。
実際、リアルタイムの数字が振るわなくとも、配信ランキングで連日首位を独走し、SNSで世界トレンド1位を獲得する作品が次々と生まれている。スマートフォンで倍速視聴する若い世代の心を掴むため、1話ごとの伏線回収のスピード感を上げ、考察したくなるディテールを徹底的に散りばめる。かつてのような「大衆全員が見るドラマ」ではなく、「深く刺さったファンが拡散するドラマ」へと、戦い方のルールそのものが塗り替えられたのだ。