軽自動車の規格は全長3.40m以下、全幅1.48m以下。この極めてタイトな枠組みのなかで、いかに衝撃を吸収する「潰れしろ(クラッシャブルゾーン)」を確保するか。これは日本のエンジニアたちが挑み続けてきた至難のパズルだった。
突破口を開いたのは、1500MPa級の超高張力鋼板(ホットスタンプ材)の適材適所な配置と、構造用接着剤の全面採用だ。衝突エネルギーをエンジンルームの先端だけで受け止めるのではなく、サイドシル、フロアクロスメンバー、さらにはルーフフレームへと効率的に分散・迂回させる「マルチロードパス構造」が標準化した。短いノーズでありながら、ミリ秒単位で段階的につぶれて衝撃を減衰させる驚異的な骨格設計が成立している。