2010年4月、新宿駅東口の一等地である「ユニカビル」の地下2階から地上7階に鳴り物入りでオープンしたLABI新宿東口館。約10年間にわたり東口エリアの家電流通を牽引した同店が、なぜ2020年秋に突如幕を下ろすことになったのか。その背景には、複合的な事業環境の急変と経営判断が存在しました。
第1の決定打となったのが、インバウンド需要(訪日外国人消費)の急激な消失です。歌舞伎町や新宿ゴールデン街の玄関口に位置していた東口館は、免税売上の比率が極めて高い店舗でした。しかし、2020年初頭からの世界的な渡航制限によって外国人観光客の足が完全に途絶え、売り上げの柱が突如として崩壊しました。
第2の要因は、新宿一等地ならではの高額なテナント賃料と固定費の負担です。売上規模が縮小するなかで巨額の賃料支払いは収益を激しく圧迫。ヤマダホールディングスが進めていた「不採算店舗の整理」および「EC(電子商取引)シフトと郊外型『Tecc LIFE SELECT』への経営資源集中」という全社戦略の波に直面することとなりました。
第3に、新宿駅周辺における家電量販店同士の過密なパイの奪い合いが挙げられます。東口エリアにはビックカメラが複数拠点を構え、西口にはヨドバシカメラの本拠地が強固な地盤を築いていました。集客コストに対して十分な利益率を維持することが困難と判断され、最終的に西口館への拠点集約が決断されたのです。