警察の取り調べや第三者委員会の調査に対し、関与した保育士らは「しつけのつもりだった」「言うことを聞かせたかった」「業務の負担が重くイライラしていた」と供述しました。しかし、なぜ複数の保育士が同時にこのような常軌を逸した行動に手を染めたのでしょうか。
社会心理学や臨床心理の観点から見ると、ここには「閉鎖的集団における規範の麻痺」と「心理的バウンダリー(境界線)の崩壊」が存在します。
乳幼児クラスは外部からの視線が届きにくい密室空間です。ベテラン保育士や中心的存在が不適切な言動を始めた際、同調圧力が働く環境では「それがこの現場の当たり前」という歪んだ認知の共有(集団浅慮)が生じます。声を上げれば職場で孤立するという恐怖から、他の職員も共依存的に加害を黙認、あるいは自らも加担していく悪循環が形成されていました。