この合言葉の英語表記は「Trick or Treat」です。「Trick」は悪戯・悪巧み、「Treat」はもてなし・ごちそう・お菓子を意味し、文法的には「Treat me, or I will play a trick on you.(私をもてなしなさい、さもなければ悪戯を仕掛けるぞ)」という命令文が短縮された形です。日本では一般的に「お菓子をくれないといたずらするぞ」と訳されています。
ネット上で時折見かける「トリートオアトリート」というフレーズは、本来の合言葉の聞き間違いや、単に「お菓子だけを要求する」意図で作られたSNS上のパロディ表現であり、英語圏の伝統的な定型句としては存在しません。
ハロウィンでお菓子を配る理由と歴史的ルーツは、古代ケルト民族の秋の収穫祭および新年祭である「サウィン祭(Samhain)」にまで遡ります。ケルト暦の10月31日は現世と来世の境界が曖昧になり、死者の霊とともに悪霊や妖精が彷徨い出ると信じられていました。人々は悪霊から身を守るために自らも恐ろしい仮面を被って仲間だと偽り、また悪霊の怒りを鎮めるために食べ物やワインを家の前に供えたのが始まりとされています。
中世ヨーロッパにキリスト教が広まると、万聖節(11月1日)の前夜祭と融合。貧しい人々や子どもたちが各家庭を訪ね、「死者の魂を天国へ導くための祈りを捧げる代わりに、ソウルケーキ(Soul Cake)と呼ばれる菓子を恵んでもらう」という「ソウリング(Souling)」の習慣が定着しました。これが20世紀初頭にアメリカへと移民たちによって持ち込まれ、子どもたちが仮装して近所からお菓子をもらう現在の「トリック オア トリート」へと発展したのです。