エンターテインメント業界において、お市の方は常に時代を象徴するトップ女優たちによって演じられてきた。大河ドラマ『どうする家康』では、凛とした誇りと力強い眼差しを持った女性として描写され、従来の「守られるだけの美女」というステレオタイプを打破した。
一方で、映画『清須会議』に見られるような、政治的駆け引きの渦中で圧倒的な存在感を放つ知性あふれる姿も印象深い。映像技術の進化と観客の価値観の変化に伴い、彼女の描かれ方は多様化している。悲劇のヒロインという一方向的な視点から、自分の足で立ち、乱世を見据えた知的な女性像へ。メディアにおける描かれ方の進化は、現代人が求める強い女性像の投影でもある。