学友たちと同じ紺のブレザーを身にまといながらも、彼には決定的に異なる背景があった。旧皇族・竹田宮家の末裔であり、明治天皇の玄孫にあたるという血統である。自宅の鴨居には歴代の肖像が掲げられ、幼い頃から自らのルーツを意識せざるを得ない日常が存在した。
皇室の歴史が単なる教科書の年表ではなく、家族の物語として語られる特異な環境。これが、のちに彼が展開する皇室論の揺るぎない土台となったのは間違いない。同級生が流行のゲームやポップカルチャーに夢中になる傍らで、近代日本の成立過程や宮中祭祀の重みに触れ続けていた経験は、慶應のアカデミズムとはまた別のベクトルで彼の精神を決定づけた。